部分入れ歯について
部分入れ歯とは
部分入れ歯とは歯が1本でも残っている口の中に入れる、取り外しのできる「入れ歯」のことです。
人の歯の欠損パターン(歯がないパターン)は2億6千8百万通り以上あります。それに金具やその他の構造がまた何パターンもありますので、部分入れ歯の種類としては無限にあると言っても過言ではありません。
そして同じ欠損様式でも、噛む力、残っている歯の状態、歯周組織の状態などが全く同じ人はいません。ですから、世の中に誰一人同じ入れ歯の人はいません。ということは、実は歯科医師にとって部分入れ歯の設計は常に一生に一回のもの、初めてのものばかりなのです。
部分入れ歯の特徴
部分入れ歯でうまくいかなかったり、痛くてすぐにつけるのをやめてしまった方も多いかと思います。これは実は仕方のない部分もあります。
部分入れ歯は実は歯医者の仕事の中でも最も難しいものの一つだと言われています。なぜなら、部分入れ歯は、柔らかい歯茎に硬い入れ歯を乗せ、歯と歯茎の両方に力をかけ、一つの「咀嚼」という作業を共同で行わなければならないからです。しかも、歯を失って入れ歯にならざるをえなかったわけですから、当然、入れ歯も悪い環境のところに入ることになります。そうしたら、うまくいかないのは当たり前です。
歯茎は柔らかいので噛んだ時に沈み込み、動きがあります。その動く部分入れ歯を、あまり動かない歯に金具をつけて固定して、「咀嚼」という一つの仕事をしなければなりません。動くものとあまり動かないものを協調させて一つの機能を成り立たせないといけないのです。
銀歯一つ口の中に入れるのにも大変な思いをした方もいらっしゃると思いますが、上のような5本分のなくなった歯と、3本分の歯にかける金具のある部分入れ歯が、
「型とって」、
「噛み合わせとって」、
「はい、完成」
でうまくいくわけがありません。部分入れ歯は非常に難しく、簡単に作れるものではないのです。
しかし、きちんとした手順で治療を進めていけば部分入れ歯であろうとも、きちんと食事ができますし、見た目も回復できます。
部分入れ歯の役目
そもそもなぜ、部分入れ歯を入れるようになったのでしょうか。
「歯が少なくなってブリッジができないと言われた」
「インプラントができいので入れ歯しかないと言われた。」
「隣の歯を削りたくなかったのでブリッジも可能だが入れ歯にした。」
など、様々な理由があることと思います。しかし、積極的に部分入れ歯を「選んだ」人は意外と少ないのではないでしょうか?
悲しいことに、部分入れ歯に関しては「消去法で」「仕方なく」選択される傾向があります。
しかし、部分入れ歯もきっちり作れば「とりあえず入れる」ようなものではなく、きちんと機能回復のための装置として働いてくくれます。このような機能する部分入れ歯では「痛い」「ハズれる」「噛めない」と言った不快症状はありません。